トップページ ＞ 邦画　＞ 【感想と評価】映画『遥かなる山の呼び声』レビュー

邦画『遥かなる山の呼び声』

スポンサーリンク

北海道東部に広がる根釧原野にある町で酪農を営む風見民子（倍賞千恵子）。亡き夫が残した土地で牛を飼う民子は、一人息子の武志（吉岡秀隆）と二人暮らしです。

ある雨の晩、一人の男（高倉健）がやってきて「泊めてほしい」と言います。一晩を納屋で過ごした男は翌朝去っていった。そして、その年の夏。男は再びやってきました。「ここで働かせてくれ」という。男手の足りなかった民子はその申し出を受けることに。そして、田島という名のその男は、自分の素性を語ることなく、民子の牧場で働きはじめ…。

評価：

山田洋次監督作品で渥美清含め『男はつらいよ』出演陣も多く登場。いつもの山田洋次ファミリーに高倉健が参加したという感じ。

北海道が舞台になっているが、風見民子（倍賞千恵子）が住んでいる家は随分とセキュリティーが甘いんだなあと気になってしまう。この頃の時代のせいなのか、あるいは地方の家はどこもこんな感じなのか…。

北海道の景色と高倉健はとてもよく似合います。健さんの演技には魅了され、やはりスターなのだと思う。演技についてとても真摯に向き合い、かなりのこだわりを持っていることが伝わるのです。

終盤、どうも『幸福の黄色いハンカチ』の設定に似ているなと感じ始めましたが、ラストに黄色いハンカチが登場！そこで、この作品は『幸福の黄色いハンカチ』の前史にあたるストーリーだったのだと気付きます。『幸福の黄色いハンカチ』の公開が1977年でしたから、製作年が逆ですね。

最後に田島（高倉健）が逮捕され、電車に乗っていると、隣の席に風見と虻田太郎（ハナ肇）が乗り込み、田島にわざと聞こえるように「旦那さんを女一人で待つ…」と伝えます。ここからあの『幸福の黄色いハンカチ』につながるというわけです。

ストーリー展開も重厚で途中でダレることなく最後までしっかりと魅せてくれます。淡々と話しが進みながらも最後まで興味を持続させる。こんなタイプの作品が「良い映画」といえるのでしょう。

スポンサーリンク

鑑賞日：2015年9月