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邦画『バンクーバーの朝日』

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舞台は1900年初頭のカナダ・バンクーバー。母国で稼げなかった多くの日本人が新天地を夢見てカナダに渡っていた時代。しかしながら、そこで待ち受けていたのは白人による人種差別と過酷な労働環境でした。そんな中、日本人移民の中から野球チーム「バンクーバー朝日」が誕生します。

最初は体格差が大きいカナダ人チームに負け続ける日々が続きますが、機動力を武器に独自の戦略を駆使するうちに大会の優勝を狙えるチームに。「バンクーバー朝日」の活躍は、日本人移民達の心の支えになり、白人も賞賛し始めます。

このようにやっと日本人移民にとって生きやすい街になりかけた時に、太平洋戦争の足音が近づいてきて…。

評価：

戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」を描いた実在のストーリー。歴史が好きな私にとってはとても魅力的な題材であり、話のテンポの悪さや盛り上がりのなさはいささか残念だったものの、「バンクーバー朝日」の存在を取り上げ、世の中に認知させた功績は大きく、満足のいく作品になりました。

現在は移民を受け入れる側であり、その審査がとても厳しいことで知られている日本が、ほんの少し前までは移民になる側であったということを考えると感慨深いものがあります。

本作では日本人移民が現地の白人に意地悪をされ、安い給料できつい労働を強いられるシーンが多くありますが、彼らの苦労は相当なものであったであろうと思われ、頭をたれるしかありません。生きる時代が違っていれば過酷な日々を送っていた可能性は十分にあったわけです。

全体として単調に話は進み、弱小球団だった「バンクーバー朝日」が勝ち始めるシーンも案外あっさりしています。この辺りはもう少し丁寧に描いてくれればカタルシスたっぷりのシーンが撮れていたのにと思ってしまいました。

白人に馬鹿にされ、蔑まれながらも、日本人としての誇りを失わず精一杯生きようとする日本人移民達の姿。この描写を観れただけでも価値が十分にある作品であったと感じます。

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鑑賞日：2015年10月