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邦画『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』

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主人公は都会で銀行に勤め、極度のお金嫌いになり、「お金アレルギー」になってしまった松田龍平演じる高見武晴。銭（ジヌ）を使わずに生活をするべく東北の限界集落の村に移住。そこにはひと癖もふた癖もある村民が住んでいて、様々なトラブルに見舞われる…。というドタバタ不条理コメディです。

評価：

監督、脚本、さらには出演までされている松尾スズキさん。何となく存在自体は知っていたのですが、それ以上のことはわからなかったので今回を機に調べてみました。

松尾さんは劇団「大人計画」の主宰者なのですね。大人計画ファンの方にはたまらない作品になっているのではないでしょうか。大人計画所属の阿部サダヲ、荒川良々が出演されています。

出演されている俳優さん、女優さんがとても豪華。なかなかこれだけの役者さんが揃う映画もそうそうないでしょう。そして、限界集落が舞台というのも興味をそそられます。パッケージとしてはとても魅力的。しかしながら、鑑賞後、残念ながら最初の期待値を上回らなかったかなというのが正直な所でした。

それぞれのキャラが個性的で起きる事件も面白いは面白いのですが、ちょっと演出が過剰で引いてしまう箇所も。これは三谷幸喜（作中思わぬ形で登場します）作品でもそうなのですが、舞台の演出をしている方が手掛けているということが影響しているように思います。

舞台を見に来るのはコアなファンなので受け入れてくれるのですが、それ以外の人が観ると空回りしていると感じてしまうというか…。折角、設定が面白いのにもったいないなと感じてしまいました。

特に、松尾スズキさん演じるヤクザの役が気持ち悪い。受け付けられない人もいるのではないかと思うほどです。

とはいえ、限界集落の日常を描いている所は興味を持って観ることが出来ました。東京の都会の生活に慣れきってしまった私にとっては、あまり知らない世界ですが、地方の状況は作中にある通りなのでしょう。

また、ザリガニが空から一斉に降ってくるシーンがあり、これは『マグノリア』のオマージュなのでしょうか。このような仕掛けは映画ならではの楽しさを感じさせてくれます。

映画という形式を借りて舞台公演を行っているような感覚で、上記のような映画らしい仕掛けも盛り込まれている。そんな印象を受けました。

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鑑賞日：2015年10月