トップページ ＞ 日本のドラマ　＞ 【感想と評価】ドラマ『新選組！！土方歳三 最期の一日』レビュー

ドラマ『新選組！！土方歳三 最期の一日』

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明治２年（１８６９）５月１０日夜、新政府軍の総攻撃を翌朝に控えた箱館五稜郭。

絶望的な状況で、箱館政府総裁・榎本武揚（片岡愛之助）、陸軍奉行・大鳥圭介（吹越満）ら幹部は別れの杯を交わしたが、その場に土方歳三（山本耕史）の姿はなかった。

歳三は、京からの新選組の同志、島田魁（照英）らと共に奇襲をかけ、敵の兵糧を巻き上げていた。歳三は、一緒に戦いたいと言う島田たちを説得して皆に箱館の港と街の警備を命じ、世話役を務めていた市村鉄之助（池松壮亮）を密かに呼んで、故郷の多摩に送り出した。

新選組と別れ、永井尚志（佐藤Ｂ作）から榎本の決心を聞いた歳三は、再考を促すべく榎本を訪ねようとするが、大鳥が立ちはだかった。

立場と価値観が異なる三人の話し合いは、言葉を重ねていくうちに意外な方向に展開していく…。

やがて総攻撃が開始され、敵の本陣を目指していた歳三は信じられない光景を目にした。そして、歳三が一本木関門を通過したとき敵の銃声が響く―。

※『NHKオンライン』より

評価：

現在、2005年に放送されたNHK大河ドラマ『新選組！』をずっと視聴中です。今は、中盤から終盤にさしかかるあたりで、システムの都合上、先にこのDVDが届いてしまいました。

とはいえ、本作は、『新選組！』後の時代を描いているので、さほど違和感なく鑑賞出来ました。

近藤勇が死去し、函館五稜郭に移り、新政府軍と最後の決戦を行う土方歳三。

このドラマは、軍事治安部門の責任者である土方と、旧幕府軍の榎本武揚（片岡愛之助）、陸軍奉行・大鳥圭介（吹越満）の幹部3人、そして、土方を慕い、共に五稜郭に乗り込んだ、島田魁など新選組生き残りメンバーの物語です。

『新選組！』を視聴し始めてから、新選組の史実にも俄然、興味を持っていますが、三谷さんの大胆な発想の部分と、細部まで史実通りにすすむ部分とのバランスが絶妙。本作はかなり忠実に進行している感じがしました。

この作品のハイライトシーンは、当初降伏を覚悟していた榎本と大鳥に対し、戦争の継続をせつせつと訴える、土方との3人の会話のシーンでしょう。

五稜郭の模型がある部屋で会話をするのですが、バラバラだったそれぞれの心が結束していきます。

この会話の場面は、ドラマというよりも、舞台演劇ようであり、三谷さんの真骨頂ともいえる良いシーンでした。

ラスト、土方はけっこうあっさりと死を迎えてしまうのですが、『新選組！』をずっと観続けている私にとっては、やはり感慨深いものがあります。

このドラマでは、近藤勇を「明」、土方歳三を「闇」と設定し、史実の新選組の闇の部分を、土方が一手に担う設定となっていますが、そんな土方を山本耕史は見事に演じていました。彼の中の代表作の一つといってよいと思います。

また、その他、本作では、キザでありながら、実は胆力もしっかりそなわっている榎本武揚の役を片岡愛之助がうまく演じていました。演技の部分では、この2人が目立ちましたね。

詳しくは、本編『新選組！』でレビューしますが、登場人物の全員が生き生きと躍動し、全員に感情移入出来る、血の通った素晴らしいドラマでした。

鑑賞日：2016年03月